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[教育活動]

2025 バリ島研修報告(8月22日再更新)

8月22日(金)  テーマ:「学びを言語化する」
 9時にホテルを出発し、最終プレゼンの会場であるsu-re.coのオフィスに向かいました。
 発表準備の後11時から最終プレゼンの予定でしたが、iPadでスライドを作成したチームのAIR PLAYがうまく表示できなかったため、PDFデータに変換して対応しました。
 各チームとも限られた時間でしっかり準備していて、聞きごたえのあるプレゼンテーションでした。
 このあと食事と買い物のあと空港に移動しますのでバリ島研修の報告は終了いたします。
 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
8月21日(木)6日目  テーマ:「未来に思いを馳せる」
午前中は植林活動に行きました。趣旨としては、「バリ島の環境に直接関わることで当事者になる」ということです。遠くの山に向かうので早朝6時20分に集合し、事前ミーティングがありました。
環境のことを考えるためにバリに来たが、私たちが乗る飛行機も大量のCO2を排出しているので、本当に微々たる量だが少しでも減らすことをしたいという考えがある。そしてもう一つ、チャナ(バリヒンドゥの供え物)にアジサイの花が使われている。貧しい農家が少しでも収入を得ようとしてアジサイばかり植えるので土が痩せていくという問題がある。それをアグリフォレストという考え方で改善したいと考えている。現状を見て自分に何ができるかを考えるきっかけにして欲しい。というような話でした。
 ここから2時間半くらいかかるので、バスは6時半過ぎに出発。朝食の時間が取れないので、バス内で食べられるようにボックスが配られた。中味はサンドウィッチ、フライドチキン、フライドポテト、みかんでした。水とジュースも一本ずつ用意されていました。
 幹線道路とはいえ、片側一車線の道を猛スピードで走るので大きく揺れることがあるので食べにくいですが、さっそく平らげる生徒が多く頼もしく感じました。
30分ほど走ると田園風景が広がってきました。日本と同じ稲作がメインであることがよくわかります。品種も日本と同じ短粒種です。日本との違いは3期作が可能というところでしょう。
郊外の町に入るとお寺が多いと思いましたが、それらは各家の寺院なんですね。おそらく地主階級が多く住んでいるエリアでしょう。
早朝に出発したことで渋滞を避けられたため1時間半ほど走ったところで急勾配の山道に入りました。
眼下に湖を見ながら快調に進んでいましたが、30分ほど行くと急に狭い道に入りました。バス1台がギリギリ通れる狭い道を転げ落ちるように、まさにジェットコースターのごとく進んで行きました。
8時半過ぎに現地付近に到着。ここから徒歩です。周囲の傾斜地にはあじさいがたくさん咲いていました。朝のミーティングで聞いていたように、農家が植えたものです。1300メートルを超える高地のため朝晩の気温差が大きく、朝露に濡れたあじさいの葉が輝いていました。
かなりアップダウンのある山道を20分ほど歩くと植林の現場に到着しました。8月は乾季のため山に植えるのはもう少し先になります。そこで先にコーヒーの苗を育てるためのポットを作りを行い、そのポットに種を一粒ずつ埋める作業をしました。
このあたりの土地はsu-re.coとTiger Movが所有していますが、普段の管理はこの村のコミュニティにお願いしているとのことでした。この日も数名の方が手伝ってくださいました。1時間で214個のポットが完成し、コミュニティの方に託しました。すべてが順調に育つわけではありませんが、このうち何本かは立派なコーヒーの実をつける木に育つことを祈ります。
 すべての作業を終えた後は近くの小さな滝に行きました。水に入ったり写真を撮ったりしたあと、バリ伝統のお菓子をいただきました。バナナの皮に包まれた少し甘めのお餅のなかにマンゴーのような果肉が包まれたもの、黄色と白の葉に包んだもち米のなかにコーヒー豆が1つ入ったもの、緑色の団子にココナツがかかったものの3種類です。
コーヒーのテイスティングということで、ここWanagiriで採れた豆から作ったコーヒーを3種類味比べをしました。生徒は浅煎りが飲みやすいと言っていましたが、深煎りもコクと苦みが適度で美味しかったです。
私たちが帰るころにはこの滝を見に来た観光客も何人かいました。バスに戻るための坂はかなり急勾配でしたので、途中で休憩しながらゆっくり上りました。
バスにとってもかなりの急勾配ですので、エンジンも唸り声をあげながら狭い道を上りました。12時頃幹線道路沿いの綺麗なレストランに到着しました。2階のテラス席で山を見ながら昼食をいただきましたが、ひんやりとした風が心地よく、まさに高原リゾートという感じでした。食後に施設内を散策しました。レストランの隣に、この施設のフィロソフィや種子から植物が育つまでの様子をパネルとプロジェクターで説明した展示ブースがありました。その後併設のコテージ内のガーデンとファームを見学しました。ぶどう、かぼちゃ、うり、夕顔、キャベツ、大根、いちごなど私たちにもなじみの深い作物が育てられていました。さらに奥の温室では水耕栽培によるレタス栽培もおこなわれていました。このようにただ食事や宿を提供するだけでなく、自然との共生をテーマとすることで環境意識の高い人々を呼び込もうということかもしれません。
13時過ぎにレストランを後にしました。早朝出発だったこともあって食後は揺れるバス内で眠っていた人が多かったようです。
14時半過ぎにホテルに到着。17時まで各チームで最終プレゼンの準備をしました。
17時から今回の研修全体の振り返りを行いました。
非日常は明日1日残すのみですので、これまで体験してきたことを振り返り、感じたこと、考えたこと、疑問に思ったこと、そして自分自身のことについて考え、それを言語化する作業でした。
例えば、
初日から何をしてきたか?1人1つずつ思い出して言葉にする。
自分自身の旅の目的は何でしたか?
旅の中で勇気を出せたときは、どんなとき?どんなこと?
 嬉しかったことは何か?なぜ嬉しいと思ったのか?
 他の人にした良いことは何か?なぜそれをしようと思ったのか?親切にしようDayもあった
 他の人からしてもらって嬉しかったことは何か?誰に何をしてもらったのか?なぜ嬉しいと思ったのか?
 自分の心が動かされた瞬間は何か?なぜ心が動かされたのか?
 バリ島で発見した自分の意外な一面は何か?どんなときに発見したのか?
 バリ島で新たに生まれた問いは何?
 あなたの旅にタイトルをつけるとすると何?
明日はお世話になったSu-re.coのメンバーに感謝を込めて、感情と意思を伝えてお手伝いをした甲斐があったなと思えるようなプレゼンにして欲しいという話でこのセッションを終えました。
 本日の夕食は屋上で摂ることになっていましたが、夕陽が綺麗だったので先に記念撮影をしました。ただ今日も水平線に雲がかかっていたため、水平線に沈む夕陽を見ることはできませんでした。屋上に吹く涼しい風を感じながらバリ島最後の夜を楽しみました。と言いたいところでしたが、明日のプレゼンや帰国後の宿題のこと、中学3年生は高校での勉強のことなどが気になるようで先輩に話を聞いていました。
 夕食後は自由行動です。先にコンビニに買い出しに行く人もいれば、明日のプレゼンの準備をしてからプールで泳ぐ人もいました。
いよいよ明日は最終日です。
8月20日(水)5日目  テーマ:「行動を起こす」
  9時に屋上に集合し、点呼を兼ねて好きな数字を答えることにしました。一桁の数字を答える人が多かったのですが、中には2桁、3桁の人もいました。「自分の誕生日にちなんで」という人も何人かいましたが、「自分の名前を数字で表すと」や「例えば〇〇のように自分にとって特別な意味を持つから」という理由を挙げる人もいました。
 そのあとすぐに1階の会議室にて、インタビューする内容を考えるワークをしました。
 本日もアクションディですので、生徒に報告してもらいます。
■20日午前中の活動
チーム:Blue  担当:まっきー
チーム blue はTPST という大きなコンポスト工場に行きました。そこではポテトヘッドなどから回収した生ゴミに乾燥させたチャナ等を7割程で混ぜて水分量を調節し、いい土を作っています。石橋コーポレーションという企業とJICAが協力して設置した機械を使い、生ゴミを撒き、ドリルで土と混ぜて作ります。そこで、一人のスタッフにたくさんの質問をして、新しい発見がありました。ゴミを道や川に捨てる習慣があると知っていましたが、なぜそのような習慣があったかをここで知ることができました。
チーム:共存  担当:やまちゃん
僕たちチーム共存は、午前中su-re.coのスタッフとドッグレスキューという犬を保護している人のところにインタビューをしに行きました。犬は45匹ほどいて、中には両足を交通事故で無くした犬、片足が無い犬、食用として殺されそうになった犬など、様々な犬がいました。
彼にしたインタビューの例で、「日本では犬を殺処分しますが、バリ島での殺処分には賛成ですか、それとも反対ですか」と質問しました。結果彼は「犬は悪霊などから守ってくれたりするため人間には必要な存在である、よって反対」と言っていました。そこで僕は、こういう考えが根付いているのに、なぜ保護できなかった犬が町に溢れかえっているのかと思いました。
チーム名;バリの海バリ綺麗  担当:とっきー
私たちは富山市とJICAがバリ島に寄贈した巨大なコンポストの機械があるTPSTの施設を訪れました。そこはポテトヘッドやレストランと連携して生ゴミやチャナを回収し、それらとバイオファイターを混ぜて大量の堆肥を作る施設でした。私たちはそこで堆肥を作る工程を見たりスタッフの方にたくさんの質問をしたりしました。話を聞いて気づいたことは政府の政策に色々と問題があることと街の人がゴミ問題の現状を知らず対策しようという気持ちがなかなかおこらないといことが問題であるということでした。
チーム:Culturist   担当:ゆっきー
チームculturistはタマンアユン寺院を訪れました。この寺院は世界遺産に登録されている有名な観光地でもあります。美しく広大な土地に立つ立派な寺院に圧倒されました。敷地内にある資料館ではタマンアユンだけでなくバリの歴史や伝統についても学ぶことができました。豊かな自然とバリヒンドゥーの精神がもたらすバリ島への影響について改めて考える機会にもなりました。観光で行くだけでは知ることのできない知識を学ぶことができて良い勉強になりました。
■20日午後の活動
チーム:共存  担当:やまちゃん
会議室でスライド作りをし、ホテルの人にインタビューもしました。ホテルでは犬を飼っていてどこから拾ったか聞くと野良犬と言っていました。バリの野良犬には血統種では無いものが多かったです。でも先日行ったペットカフェには血統種だらけでやはりバリもそういう考えを取りいれてきているんだなと実感しました。
チーム名:バリの海バリ綺麗  担当:いとつば
この2日間で自分たちが仮説や問いの答えに辿り着きやすい所へ行きました。そこで思ったことやその場所で質問したり、ホテルの人にインタビューをしたりした内容をまとめて22日のプレゼンテーションに向けてパワーポイントでスライドを作りました。
チーム:Culturist   担当:まの
私たちはタマンアユン寺院からホテルに戻り、再度自分達がこれまで調査してきた事の振り返り・問いの再確認など、最終日に控える最終プレゼンに向けて準備を始めました。各々がメインテーマである「地球にとって人間の役割とはなんだろう」という問いを心に留めながら翌日の植林に臨む予定です。
チーム:Blue  担当:あおい
午後はホテルの従業員やコンビニの店員さん、市民などたくさんの人にインタビューをしました。エコ活動に注力している施設の人の話と比較することで、予想外の発見をたくさんできました。地域によって分別の有無が違ったり、実際に感じていることなどを聞くことが出来、バリ島のゴミ問題の現状を知れました。海外で街中でのインタビューは初めてでみんな少し緊張していましたが、コミュニケーションを取れたことがとてもいい経験となりました。

 

8月19日(火)4日目  テーマ:「行動を起こす」前半

 朝食の前にみんなでビーチ散策に行きました。散歩している人が多かったですが、投網で魚を獲っている人もいました。
  ところで本日4日目と明日5日目はアクションデーということで、各チームがsu-re.coのスタッフと相談のうえ2日間のスケジュールを決めて行動することになっています。私が同行できるのは1チームだけですので、各チームの活動はチームメンバーに書いてもらいました。
■19日午前中の活動
チーム:バリ島の海バリ綺麗  担当:おかじー
19日の午前は、シュワコの方々がコンポストのやり方をバリ島の小学生たちに説明するセレモニーに参加しました。コンポストの大切さなどを説明したあと、実際にコンポストの温度や匂いなど実際のものを見て体感し、やり方を覚えて家でもやってみようというものでした。セレモニーにはバリ島の副県長や、富山市の市長などたくさんの方々が参加していました。日本人も多く通訳の方がおり、とても助かりました。そのあとはインドネシアのお菓子を貰いました。朝ごはんと時間が開いていなくて、とてもお腹いっぱいになりました。セレモニーでコンポストのやり方を聞いて、そのやり方を他の人にも伝えていくことが大切だと改めて思いました。
チーム:Culturist   担当:とっしー
19日の午前はsu-re.coの人にたくさん質問をして自分たちが知らなかったバリヒンドゥーの神様たちのことや様々な習慣やルールのことが知れました。自分たちがあまり知らなかったとても重要な部分を聞けたためバリヒンドゥーと環境の関係性について理解が大きく進みました。
チーム:Blue  担当:かなみ
私たちチームBlueは富山市の市長やsu-re-coの人達がコンポストを広めるための活動として小学生にコンポストを教えることを始めるという取り組みのセレモニーに参加しました。セレモニーが終わったあと小学生にゴミを分別しているのか、という内容のインタビューをして午前中の活動は終わりました。
チーム:共存  担当:ひらちゃん
チーム共存は、会議室でどのようなことをしたいのかや動物との共存についてどう思っているのかというようなことをsu-re.coの人と話し合いました。どのようなところに行きたいか?と相談する中で行くところが決まり、そこに行った時に質問をスムーズにするために前もって考えたところで午前中の活動を終えました。
チーム:Culturist   担当:ゆめか
カルチャリストはKerobokan(クロボカン)のPetitenget (プチンゲット)という寺院に行きました。寺院の中には一般の人が入れるスペースとバリヒンドゥー教を信仰している人しか入れない本殿があって、その場所を分けている門がとてもきれいでした。寺院の中には神様の像がたくさんあって一つひとつの神様がどういう存在なのか教えてもらいました。
チーム:Blue  担当:あおい
チームBlueはポテトヘッドというリサイクルに注力している施設に行きました。そこでは、回収されたプラスチックがその施設で新たな形へと加工され机や椅子など様々な形でホテルで使用されています。いくつかインタビューをしました。ゴミをゴミで終わらせない取り組みが多くの人に好評であり、これからももっとエコ活動を知ってもらいたいとおっしゃっていました。施設内で見た、海岸に流れついたサンダルだけで作られたオブジェがすごく印象的でした。
チーム:共存  担当:ひらちゃん
GrabでBall pet Nirvana というところに行きました。そこでは、たくさんの犬がいました。犬とふれあってから、店の方に動物と人間の共存についての話を聞かせてもらいました。話を聞き終わった時にその店の方がアルビノのヘビを持ってきてくれました。その後少しまた犬と触れ合い午後の活動を終えました。
チーム:バリ島の海バリ綺麗  担当:さえ
環境問題に積極的に取り組んでいるポテトヘッドホテルに行きました。そこでリサイクルの工程を見たり、ゴミ問題についてのインタビューを行ったりしました。スタッフの方に英語で質問して、英語で聞き取ることはとても難しかったですが、みんな一生懸命取り組んでいました。
ホテルの中で特に印象的だったのは、海に落ちていたビーチサンダルで作られたアート作品。
これほど海でのゴミ問題が深刻であるという事を痛感しました。

 

8月18日(月)3日目 テーマ:「問いを深める」(後半)

Su-re.coを後にした私たちはJiwa Community Garden を訪問しました。まずは涼しげなBamboo House(竹の家)でジュースと果物をいただきながら、この施設の創設者の一人であるMaxさんに施設の概要を説明していただきました。

Jiwaは未開発(未利用)の土地をコンポスト施設やオーガニックガーデンあるいは、パーマカルチャーガーデンの学習センターとして利活用できるような活動を行っている団体で、バリ島の哲学でもある「人間と神」、「人間と人間」、「人間と自然」とのつながりを受け継いでいくためのコミュニティの形成を目指しているということでした。

ここは5年前に設立したが、荒れた土地だったのでコンポストで堆肥を作り、良い土壌を作るのに三年かかったそうです。化学肥料だとバクテリアは育たないので、化学肥料を使った土は死んだ土になり、死んだ土だからまた化学肥料が必要になるという悪循環になる。堆肥を使った良い土はバクテリアがごみを分解してくれるから化学肥料を入れる必要はなく、そのままで良い作物を作ることができるという好循環になるということを強調されておられました。

その後は一人一人の質問に丁寧に答えていただきました。主なものをあげておきます。
Q:なぜカフェを併設しているのか?
A:この施設は持続可能なシステムを考えている。カフェ→生ごみ・トイレ→コンポスト(堆肥)→作物→カフェ→池で魚を育てているので永久に循環し続けられる。ほかにもコンポストに集る虫は鶏が食べてくれる→卵をカフェで調理する。メニューはヘルシー、ローカル、シーズンの3原則に則っている。
Q:人間と自然が共生するには?という質問に対して
A:スタートは森に行って好きになること。なぜなら好きでなければ森に行こうとしないし、森のことを見たり考えたりしないから。
Q:人は自然なしで生きられるか?
A:だから自然を学ばなければならない。今人間は都市のことばかり考えて自然を忘れている。それでストレスフルになっている。それがわからなければ自然がもっと必要だと気付けない。
Q:なぜコミュニティガーデンを作ろうと考えたのか?
A:コロナのときバリは外部から人を入れなかったからみんなやることが無くなったからだよ。だからみんながそれぞれの得意分野を生かして協力してくれたので、Community Gardenにしたんだ。
このように肩ひじ張らずありのままを答えてくださいました。

その後ガーデン内を案内しながら、堆肥の作り方や注意点、栽培している作物の紹介、カフェメニューの30%はガーデンでできたものを使っていることなどの説明のあと、5年間堆肥を与え続けた土とそうでない土の硬さの違いを実際に手で触って確かめました。
生徒たちは、Maxさんの人柄もあって深い学びができたと感謝していました。

夕食後はホテルに戻り、簡単なミーティングをした後解散しました。
その後希望者はプールで泳いだり、ビーチバレーをしたりして楽しみました。

8月18日(月)3日目 テーマ:「問いを深める」(中盤)
昼食後は一旦su-re.coに戻り藍染ワークと明日から始めるチームアクションの「壁打ち」を行いました。
 まず藍染めですが、作業はいたってシンプルです。学校名とプログラム名、主催者であるタイガーモブとパートナーであるsu-re.coの文字がプリントされた白いTシャツと輪ゴムが用意されていましたので、各自が色を付けたいところと付けたくないところを考えて、布を輪ゴムで縛るだけです。ただ、仕上がるまでどのような柄になるかがイメージできないため難しいですね。この作業自体は10分ほどですから、縛れた人から水を入れたたらいに沈めておきます。次に藍の入った容器に縛ったTシャツを浸して5分待つ。壺からあげた直後は綺麗な緑色をしていいますが、空気に触れることで青くなる様子がよくわかりました。再度容器に5分間浸けたあと取り出したTシャツの輪ゴムを外して水で洗い干して完成です。本日はこのあと別の見学が予定されているので、後日改めて受け取ることになりました。最終日は全員このTシャツを着てプレゼンを行う予定です。
 藍染めしたTシャツを物干し竿にかけたあと、高間さんからリフレクションをいただきました。藍染めはすべて自然のものでできるということ。だから古代エジプトでも使われていた最も古くからある方法であることなどの説明を受けた後、普段来ている衣服は化学染料を使っているのでたくさんの色が使えるし、あまり色落ちしないというメリットがある反面、その分どれだけ地球環境に負荷をかけているかを考えるきっかけになって欲しいというお話でした。
 作業を終えた後は「壁打ち」です。各チームは事前研修にて現地で取り組みたい探究テーマを考えてきていましたが、日本に居ながら考えていたことと現地訪問後ではかなりイメージが異なるうえに、現地で見聞することにより次々とテーマが増えてしまいますので、このセッションでは「打ち合わせ」と呼ばずに、敢えて「壁打ち」と言うことによって、投げては(打っては)返すという思考動作を繰り返すことによって、徐々に鉄が鍛えられていくように問いの本質を叩きだしていく作業でした。
 午後3時頃から2つ目のVisit session、Jiwa Community Garden に向かいました。
8月18日(月)3日目 テーマ:「問いを深める」(前半)
 本日は「問いを深める」ためのVisit session ということで、午前中は廃棄物問題に持続可能な方法で取り組んでいる環境NGO ecoBaliを訪問。午後は昨日訪問したsu-re.coで藍染め体験ののち、未開発(未利用)の土地をコンポスト施設やオーガニックガーデンに変え、それらの学習センターとして利活用できるような活動を行っているJiwa Community Gardenを訪問することになっています。
 まずはecoBaliのMRF1(一次工程作業場)を訪問。最初に作業場の中を燕が飛んでいる光景が目に入りました。屋根裏の鉄骨部分に巣でもあるのかなと思って見ていましたが、どうも巣ではなさそうです。
 まずecoBaliのスタッフさんからecoBaliの設立や取り組みについて説明していただきました。ecoBaliはバリ島のごみ問題を解決するために2006年に設立された団体で、おもにごみの分別・回収・リサイクルに取り組み、ごみの堆肥化など地域住民や行政、企業と連携しながらZERO WASTE(ごみゼロ)社会の実現を目指しています。そのために企業や学校への支援を行い、環境教育と実践を通して人々の意識改革を促し、環境に優しいライフスタイルを地域社会に広げる活動を進めています。その結果2022年半ばから正式にPT Wasteforchange Alam Indonesiaの一部となり、インドネシアの廃棄物管理サービスを提供することに重点を置くことになったということでした。
 ecoBaliのパートナーや協力企業等は2種類のバッグが配布されており、紙類はRED BAGに、その他ビン、缶、プラ、ペットボトル等はGREEN BAGに入れて回収することになっています。しかし地方自治体ではこれとは別にBANK SAMPAHという組織を立ち上げて活動しています。すなわち各村でごみの分別をすると、ecoBariが作業をする手間が省けるので、その分のお金を村に支払うことができるというシステムを作ることで村人たちのごみ分別への意識を高める効果があるということです。Eco systemの問題をEconomic systemで解決するという方法に持続可能性を見出すことができます。
 スライドを用いた説明を受けた後は恒例の質問タイムですが、ここでも途切れることなく行列ができていました。
 質疑応答の後施設を案内してもらいました。ここはリサイクル施設ですから生ごみは搬入されませんが、分別されているのは紙類(牛乳パック等)とその他(ビン、缶、プラスチック、ペットボトル等)の2種類だけです。もちろん回収前には洗って出すようにという指示が出されているはずですが、150-200ccくらいのジュース類が入った紙パックや、マヨネーズやケチャップが入っていたプラスチック製品等は水では洗いにくのでそのまま回収されています。中味が漏れ出していることも多く、そこにハエが集っているため、それを食べにくる燕も多いということでした。
 ここではすべて手作業で行われていました。例えば、ビン、缶、プラスチック、ペットボトル等を仕分ける際、素材や色の違いを見て素早く仕分けます。ペットボトルは本体とキャップやラベルとでは素材が違いますので余計手間がかかります。そしてラベルがついているものは一つひとつ手で剥がしていました。私たちもペットボトルを捨てる時は、キャップとラベルをそれぞれのごみ箱に入れる習慣をつけたいですね。
 このあと別の場所に作られているecoBaliのMRF3(最終工程作業場)に移動して施設を見学しました。こちらでは最終確認の後、大きなプレス機を用いて素材別に圧縮していました。これをリサイクル業者(工場)に売って収益をあげているのです。
 なお上述したように2022年からインドネシア政府のお墨付きを得ていますので、作業工程や労働者の賃金もしっかり管理されています。そのうえバリの環境保護につながる尊い仕事をしているということで、作業をされている人たちはみな誇りを持ってやっているということでした。そう意味において、路上で生ごみを収集している人たちとは対照的でした。
◆番外編
朝ビーチに行ったら結婚式が行われていました。
8月17日(日)2日目 テーマ:「現地のリアルを知る」(後半)
  昼食後PERERENA Beachに向かいましたが、車窓からもバリの現状が見て取れます。国際リゾート地として有名なバリ島ですが色々な顔を持っています。
 下町の様子を見ると生活感が溢れているというか、露店も含めて色々なものを売って生活している人がいるという当たり前のことが見えてきます。
町のあちこちに古いヒンドゥ寺院や像(日本でいうところのお地蔵さんや祠のようなもの)もありました。あとで聞くと「一家一寺院」だそうです。
 住宅街の空き地で牛が数頭草を食んでいました。
 幹線道路以外は曲がりくねった道が多く、交差点も多いのですが信号がありません。そのうえバイクが溢れかえっていますので、観光客が運転するのは事故リスクがかなり高くなります。
 誤解を恐れずに言うなら、全体的な印象としては1950年代後半から60年代前半の日本の下町のような感じでしょうか。
  バリ島にもたくさんの田圃がありますが、日本で見慣れている者からすれば不思議な光景が広がっています。例えば、ホテル近くの田圃では黄金色の稲穂が美しく輝いていました。バスで走っているとまだ稲穂をつけていない青々した田圃がある一方、すでに刈り入れが終わった田圃があるのは日本と同じです。しかし別の田圃では代かきが行われていたり、田植えが行われていたりするのです。ここは熱帯ですから、二期作のみならず三期作も可能だからです。つまり一年中収穫ができるということですね。
 バリ島には無数のビーチがありますが、ここPERERENA Beachもその一つです。ビーチの入り口に身体が魚で頭が象という架空の生き物の背中に海の神様であるバルナ神が乗っている巨大な石像がありました。
風がかなり強く波が立っていますので、上手なサーファーにはぴったりですが、初心者にはボードの上に立つこと自体が厳しそうでした。遊泳は禁止されていますので、岸辺で遊ぶくらいですが、「海の家」やその前のパラソルには思い思いに休日を過ごす欧米系の人たちがたくさんいました。
バリにはたくさんの野犬がいます。リゾートビーチにはリードを着けて飼い主と一緒に歩いている飼い犬のほか、リードは着けていないが首輪を着けている飼い犬、そして首輪のない野犬がいます。ただ、こちらから何かを仕掛けない限り、どの犬も人を嚙んだりはしないようです。この野犬との共生をテーマに選んだチームがありますので、発表を楽しみにしたいと思います。
今夜はケチャックダンス鑑賞が予定されているので、16時から夕食をいただきました。昼食が遅かったのであまりお腹はすいていませんでしたが、男子はペロリと平らげていました。
 17時前に夕食を終えて夕陽の美しいタナロットに向かいました。今日は晴れていますので期待できます。日没までには時間があるので、海岸の奇岩や寺院などを見ながら岬に向かいました。その先の小島にあるタナロット寺院は干潮時には歩いて渡れるのですが、満潮時は海で隔たれています。訪問時は波が高い影響から常に潮に洗われている状態でした。しばらく見ていると潮が引いて渡れそうだったので何人かの生徒が渡ったのですが、そのときに大きな波が来て・・。靴やズボンの裾が濡れてしまいましたが、夏なのでそのうち乾くでしょう。そうこうしている内に日没の時間が近づいてきましたが、上空は晴れているものの、西側の水平線付近に雲がかかっていいたので、残念ながら南太平洋に沈む夕陽を見ることはできませんでした。
 18時15分からバリの伝統的な舞踊ケチャックダンスを鑑賞しました。解説文によると、「タナロット・ケチャックダンスのストーリーは、世界で最も有名な古代物語のひとつである『イティハーサ・ラーマーヤナ』から取られてい」るということですので、この機会に是非ネット検索してみてください。約1時間の公演の後、衣装を着た出演者の方々と記念撮影をしてタナロットを後にしました。
 帰路も渋滞にあったため小一時間かかり20時過ぎにホテルに到着。体調や明日のスケジュール等を確認して解散しました。夕食が早かったためにお腹を空かせた生徒がいましたので、近くのコンビニに一緒に行って本日の活動を終えました。
 このように行程2日目(バリ島での活動初日)は国際リゾート地としてのバリの姿と、実際に人々が生活し、動植物が生きているバリの雰囲気を掴んで無事終了しました。
8月17日(日)2日目 テーマ:「現地のリアルを知る」(前半)
本日はインドネシアの独立記念日なので街のあちらこちらでイベントが行われていますが、宿泊しているホテルでも行われていてびっくりしました。
 昨晩の到着が遅かったので起床時間は決めず、各自で朝食を摂り、9時からホテルの屋上にあるリラックススペースにて朝のミーティングが行われました。まずは点呼を兼ねて自分の好きな色を答えてもらいました。自分を知ること、メンバーを知ること、そして人それぞれであることを知ること、そのような気付きを得るアクティビティでした。
 その後、本日から現地での研修が始まることへの注意と心構えの話がありました。特に、バリ島にいるときにしかできないこと、例えばバリに住んでいる人にインタビューするなど、せっかく現地に来た意味を考えて積極的に行動することなどが伝えられました。
  朝のミーティングの後、バリを拠点とする環境シンクタンクsu-re.coにバスで向かい、20分ほどで到着。su-re.coのスタッフCyntiaさんとは、事前学習の5回目(7月25日)にオンラインでインタビューをしましたし、Kahokoさんと二人で昨晩空港に迎えにきていただいたこともあって、最初から壁を感じないでスムーズに入ることができました。
はじめに成田さんからチェックイン(アイスブレーク)として、今の自分の気持ちに合う(表現している)カードを一枚選び、皆に見せながらそのカードを選んだ理由と気持ちを伝えるアクティビティがありました。例えば、サーフィンをしているカードを選んだ生徒は「初めての海外を楽しみたいしワクワクする気持ちが強い」、波が大きく動いているカードを選んだ生徒は「昨日付いたばかりだが新たな発見に心が動いている」、きれいな虹のカードを選んだ生徒は「バリの人が優しくて気分が晴れている」など、出発前に学校で事前研修を受けてきたので、それぞれが率直な気持ちを伝えることができていました。また、「自己管理が大切なので、まずは自分がしっかり自己管理をして、そのうえで周りを見てサポートできたら」と話す生徒もいました。
  次にそれぞれの発表を聞いて自分の気付きや想いをシェアし合ったあと、他人の発見や気付きを発表する振り返りを行いました。
  成田さんからは明日以降に行う体験学習(環境NGO訪問、藍染め体験や植林など)の意味や、「ここから次の問いが出て探究が始まる」、「好奇心に蓋をしない 他人の好奇心も引き出していこう」、「フィードバックはギフト」、「常識とか こうだと思ってるものから解放される」、「自分を見つめる」、「研修のゴールは帰国後にあり」、「自分がどういうふうに変わっていくのだろう」、そして最後に「今回の旅のテーマは『地球にとっての人・自分の役割って何だろう』を考えること」という本研修の本質を伝えていただきました。
次に、su-re.coのスタッフからバリ島の現状とsu-re.coのミッション、明日訪れる環境NGOの紹介、バリ島滞在時に注意することなどを英語で紹介されました。そのうえ挨拶や感謝の言葉など、簡単なインドネシア語の練習もしてくださいました。
 その後はチームごとのアクションプランを考えるセッションでしたが、知りたいと思っていることや疑問に思っていることを積極的にsu-re.coのスタッフに聞いていました。4つのチームが代わる代わる質問をするので、あっという間に時間を過ぎていきました。今日は日本人スタッフがいるので本当に難しいことは通訳してくださるという安心感はありますが、それに頼らずほとんどが英語でやり取りしていました。初日から英語を話すことのハードルが下がったうえ、英語学習へのモティベーションもかなり高くなったのではないでしょうか?
 引き続きチームごとのアクションプランを考えましたが、現地で現状を見聞きしたことで日本で考えてきた仮説がそのまま使えることはありませんので、どんどんバージョンアップさせたものを全体で共有しました。「現地を消費して終わらない」ことの大切さも理解できてきたように思います。
 ちなみに13時現在の天気は曇時々晴、気温は28℃、湿気はありますが風もあるのでたいへん涼しく過ごしやすかったです。
8月16日(土) 1日目 テーマ:「出国・現地到着」
 8時に関西国際空港4階国際線出発ロビーにて集合。パスポートやEVOA(ビザ)等持ち物の確認、e-チケットの配布、注意事項の連絡ののち、まずは全員で出発前の記念撮影。
チェックインカンターにて搭乗手続きを行い、そのまま出国審査に向かいました。早朝よりお見送りにきていただいたご家族の皆さまありがとうございました。
搭乗口にて一旦解散しましたが、インドネシア入国の際に必要な電子関税申告書と健康申告書をスマホで作成するのに結構手間取りましたので、買い物は近くの自動販売機で飲み物を購入するくらいでした。女子はおしゃべり、男子はゲーム等をしながら待っていました。
搭乗するシンガポール航空(SQ619便)は10時55分出発予定でしたが少し遅れて11時30分頃テイクオフ。途中少し揺れたものの順調に飛行を進め、出発時の遅れも取り戻せそうでした。
シンガポール到着直前、マレー半島上空からは熱帯林が開発されてパームプランテーションが増えている様子が見えました。ここで採れたパーム油の多くは日本にも輸出されており、私たちが気づかないうちに日常生活に欠かせないものになっています。成分表示に「植物油脂」と書かれているものはほとんどがパーム油ですので、一度探してみてください。
16時45分頃無事チャンギ空港に到着。このチャンギ空港はアジアのハブ空港としての機能を担っているためかなり広いのですが、乗り継ぎ便がすぐ隣のゲートだったので助かりました。
バリに向かうSQ946便は17時45分に離陸。夕食のトレーにはプラスチックではなく竹製のナイフやフォークが置かれていました。これもバリ島の環境への配慮ですね。こういったところからもSDGsを学ぶことができます。
私たちを乗せたSQ946便は20時30分過ぎにバリ島・デンパサール近郊のングラライ国際空港に到着。事前にEVOA(ビザ)、関税申告書、健康申告書を作成していたので入国審査も機械でパスポートのデータやQRコードを読み取るだけ。スムーズに通過することができました。
ゲート前では今回お世話になるsu-re.coのスタッフ2名が出迎えてくれました。バス・タクシー乗り場の前で集合写真をパチリ。無事に到着して安心したのか、長旅で疲れているはずなのにみんなタイガーポーズでいい笑顔をしていました。
空港からは専用バスでチャングーにあるホテル(Citadines Berama Beach Bali)に移動することになっていましたが、なかなかバスが来ません。スタッフに聞くと、明日8月17日がインドネシアの独立記念日ですが、今年は特に独立80周年ということで18日も祝日になったとのこと。その影響もあってバリ島にもたくさんの人が来ているそうで、空港内の道路が渋滞し、私たちを迎えに来たバスも30メートルほど進むのに30分かかったということでした。
21時40分頃バスに乗車しホテルに向かいましたが、こちらも大渋滞。3車線の幹線道路は何とか流れていましたが、片側1車線になるとなかなか動きません。GoogleMapで確認すると「混雑エリア」と書いてありましたので元々混雑する道路のようです。両サイドに飲食店がたくさんあって大変賑わっていました。
バイクが多いことも東南アジアらしい光景でしょうか?渋滞している車の左右両側からバンバン抜いて行きます。ヘルメットを被っている人もいますが、半数はヘルメットなしです。各所に設けられている広いバイク駐輪場はどこも一杯です。バイクタクシーもたくさん走っています。
22時50分、やっとホテルに到着。チェックインと簡単なミーティングのあと各自部屋に入りました。この時点で23時10分(日本時間だと日付が変わって17日の0時過ぎ)。関空集合から約16時間の長旅、お疲れ様でした。
明日は各自朝食をとって9時ミーティングの予定です。ゆっくり休めると良いですね。
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