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行事ニュース

2021年度中学卒業式

3月19日(土)午前9時30分より、本校香真館にて2021年度中学卒業式を挙行いたしました。

校長式辞

長い冬の厳しい寒さが和らいで、ようやく暖かい春の訪れが感じられる今日の佳き日、保護者の皆様をお迎えして、ここに2021年度同志社香里中学校卒業式を挙行できますことを心から喜び、深く感謝申し上げます。

これまで、長きにわたって慈しみ育んでこられました保護者の皆様、お子様のご卒業、心よりお祝い申し上げます。義務教育修了という、ひとつの節目を無事迎えられたお子様の姿に、感激もひとしおかと拝察いたします。入学以来、本校の教育活動にお寄せくださいました温かいご理解とご支援に対しまして、厚く御礼申し上げます。

ただ今、卒業証書を授与しました、262名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。思い起こせば3年前、皆さんは、夢と希望に胸を膨らませて、この香里の丘を登ってきました。皆さんの中学校生活は、順風満帆にスタートしましたが、突如として現れた新型コロナウイルスの影響を受け、最後は激動の2年間となりました。一昨年の今ごろ、学校が全国一斉に臨時休校となり、仲間と共に学び合うことのできる学校生活の場が失われました。ようやく登校できるようになってからも、新しい生活様式での不安と緊張の日々、楽しみにしていた学校行事や部活動の大会なども変更や中止を余儀なくされました。皆さんにとって大切な思い出になるはずだった修学旅行も中止となりました。

このように教育活動が大きく制限される中にありながらも、皆さんは、勉学や部活動に全力で取り組み、級友や仲間たちとともに友情を育んできました。皆さんのこれまでのたゆまぬ努力に、心から敬意を表したいと思います。

さて、皆さんがこれから生きていく時代は、少子高齢化、高度情報化、グローバル化など、変化が激しく、先行きが不透明な時代です。また、今回の新型コロナウイルスのパンデミックをはじめ、温暖化が象徴する地球環境の変化など、国内外で課題が山積し、そのいずれもが正解のない、あるいは正解が一つとは限らない、複雑で困難な時代に突入します。そのような時代に、新たなステージに向かって歩を進めていく皆さんに、心がけてほしいことをお話したいと思います。

それは「失敗を恐れず、何事にも積極的にチャレンジしてほしい」と言うことです。こうあるべきとか、こうするべきとかいう古い価値観、凝り固まった価値観にとらわれず、柔軟な思考と行動力、バランス感覚を持って、どんなことにもチャレンジし、自分で自分の未来を切り開いていく力を養ってほしいと思います。自分の未来を切り開いていくのは、自分自身、皆さんお一人お一人です。過去に執着することなく、未来を恐れず、今を一生懸命に生きてください。

先ほど、富田宗教主任に読んでいただきました聖書は、マタイによる福音の「タラントンのたとえ」と言われる有名なお話です。

話は、主人が旅行に出かけるときに、三人の使用人に自分の財産を、それぞれの力に応じて預けるところから始まります。一人には5タラントン、一人には2タラントン、もう一人には1タラントンを預けます。

主人が旅に出ている間に、5タラントンを預かった使用人は、それを元手に商売をして、さらに5タラントンを儲け、2タラントンを預かった使用人も、同様に2タラントンを儲けます。1タラントンを預かった使用人は、それを土の中に埋めて、増やすことをしませんでした。この使用人は、主人から厳しく叱られ、持っていた1タラントンを取り上げられるという物語です。

1タラントンは、今の価値で5千万円とも1億円とも言われる大金です。1タラントンしか預からなかった使用人は、他の二人が5タラントン、2タラントンとたくさんのお金を預けてもらっているのに対し、自分には1タラントンしか預けてくれなかったので、おもしろくなく、何もしなかったのでしょうか。それとも、自分には1タラントン分しか力がないから、何もしなくて良いと最初からあきらめてしまったのでしょうか。いずれにせよ、この使用人は、預けられたタラントンを使うことをしませんでした。

このタラントとは、英語でいう”talent”、才能や技量のことです。この聖書のお話は、お金儲けをしなさいと言っているのではなく、また、与えられた才能の大小や、才能を使ってどれだけのことができたかを問題にしているのではありません。みんな、十分な才能を持っているのだから、それを磨き、価値あることに惜しみなく使うことが大事であると教えています。人は、自分に与えられた才能に気が付かないこともよくありますが、それは地中に埋めているのと同じことで、そういうときに限って、人の才能を妬ましく思ったりもするものです。

人は、全力で何かにチャレンジし、達成したときに、自分の新しい才能を発見することができます。そして、より高い目標に向かって、さらにチャレンジし続けることで、自分の才能を伸ばし、大きく成長します。

今後、皆さんお一人お一人が自身の才能を信じて全力を尽くし、新たな才能に出会い、そして、実り豊かな未来を切り開いて行かれることを心からお祈りし、私の式辞とさせていただきます。あらためまして、ご卒業おめでとうございます。

2022年3月19日

同志社香里中学校・高等学校

校長 瀧  英次