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クラブ活動ニュース

2022.8.29 香里生のための同志社女子大学薬学部一日実験セミナー報告

8月29日(月)同志社女子大学薬学部において、「アセチルサリチル酸(アスピリン)の合成と製剤化」というテーマで実験セミナーが行われ本校生徒16名が参加しました。

午前中は創薬有機化学研究室の山本康友先生に、午後は生物薬剤学研究室の芝田信人先生にご指導いただきました。また、宮脇あかり先生、松岡純平先生、西村亜佐子先生、西原冴佳先生に加え、4名の学生(香里卒業生)さんにもご協力いただきました。

午前の実験では、4人1組の班を作り、サリチル酸に無水酢酸と濃硫酸を加えて攪拌しながら30分間加熱し、アスピリンを合成しました。合成したアスピリンの純度を上げるため再結晶実験も行いました。どの班も午後の実験で利用予定の量を超えるアスピリンを合成することができました。また、アスピリンが実際に合成されているかを確認するため塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加える定性実験も行いました。材料であるサリチル酸は塩化鉄(Ⅲ)水溶液とまざると紫色に変色しますが、アスピリンは無色透明のまま変化がみられません。結果、わずかに薄い紫色に変色した班もありましたが、概ねアスピリンの合成に成功したことが目視できました。その後、別の研究室に移動し、赤外吸収スペクトルを確認したところ、合成された薬品が、アスピリンの波長であることが確認できました。

午後は、アスピリンの歴史や薬効についてご説明いただいた後、午前中に合成したアスピリンを錠剤の形にする実験を行いました。作製した製剤は、普通製剤と放出制御製剤の2種類です。普通製剤は体内で速やかに溶け出すことで早く効果があらわれるという特徴、放出制御製剤は体内でゆっくり溶けて長時間効き目が持続する特徴があります。この2タイプの材料をそれぞれ量りとり、乳鉢中で混和しまし、打錠剤機という機器を用いて錠剤を作製しました。その後、普通製剤と放出制御製剤の性質の違いを確かめるための溶出試験を行いました。溶出試験は六連式溶出試験機という装置を用いて行いました。この装置は6つのヴェゼル(容器)がついており、その中に緩衝液と製剤を入れて、時間ごとに溶け出した薬剤の濃度を測定することができます。今回は、薬剤を入れて0~120分後の溶出濃度を測定し、溶出率の計算を行いました。溶出濃度の測定では、紫外線μプレートリーダーという吸光度を測定する装置を使用しました。吸光度から溶出率を計算で求めるところまでで実験は終了し、後は考察含め各自でレポートにまとめることになりました。

今回の実験セミナーでは、本校では使用しない器具・装置を多く扱いましたが、丁寧に操作方法や原理などを教えていただき、無事実験を終えることができました。また、実験の待ち時間などで、香里卒業生の方々から同志社女子大学について、薬学部についていろいろなお話が聞け、大変実り多い時間となりました。

◆生徒の感想

・高校でする実験よりも使う器具がすごかったり、内容が詳しかったりして面白かった。地下にある大きな機械なども見られてよかった。

・有機化学で習ったところを実際に実験できて楽しかったです。再結晶に吸引ろ過など学校の授業ではできないようなことができて、貴重な体験になりました。

・初めて聞く薬品、器具ばかりで戸惑うことも多かったけど、とても楽しかったです。自分で初めて薬をつくれたことに感動しました。

・難しかったですが、実際に薬をつくることができて面白かったです。薬が販売されるまでにとてもたくさんの検査がされていると知り驚きました。

・楽しめるように色々な実験や機械を見させてもらってすごく面白かったです。先輩や先生がとてもやさしく接してくださって安心しました。

・薬をつくる過程を知ることができ、とても感動しました。特に粉薬を錠剤にするのが楽しかった。

・今通っていらっしゃる大学生の方々とお話しできたことが一番嬉しかった。悩みも聞いてもらい薬学部への興味が深まった。

・大学生の方がとてもやさしくて、頼りがいがあった。わからないところをしっかり教えてもらえた。初めて使う器具ばかりだったので楽しかった。

・錠剤をつくることができ、身近にあるお薬に興味がわきました。とても楽しい作業で面白かったです。

・薬をつくるのはこんなに大変なんだということがわかりました。貴重な体験ができました。ありがとうございました。

・先生やOGの方々が優しくアドバイスしてくださったので安心して実験することができました。私が薬品をこぼしたときに臨機応変に対応してくださったので感謝しています。

・わからないことを学生の方が優しく教えていただき、理解することができました。普段目にすることのないものばかりでとてもワクワクしました。

・学校の実験で使わないような器具や、NMRや赤外線といった、いかにも化学系の大学という感じの研究室がたくさんあり、非常に興味をもって取り組めて、解説もわかりやすかったので、実験も楽しくできました。

・錠剤をつくるということで身構えましたが普段やっている実験に近い部分もあり参考になりました。色々な機器を見せていただいて楽しかったです。

・普段はできない事ができて楽しかった。

・高校ではできないような実験ができて楽しかった。

(写真左から)

①アスピリン合成実験の説明 ②赤外吸収スペクトルの確認 ③打錠剤機で粉末から錠剤をつくる ④錠剤の溶出実験