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行事ニュース

入学式

今日は、中学校と高等学校の入学式でした。

登校した新入生を待ち受けていたのは、各クラブの勧誘合戦。敷地の入り口から校舎まで、各クラブの生徒がずらりと並んで、口々に誘っています。

 

 

13時から、香真館で入学式が挙行されました。

 

最後に、校長先生の式辞を掲載します。

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2018年度 入学式 式辞

満開だった桜の花が桜吹雪に変化し、早くも新緑の季節を感じさせる今日この佳き日に、八田英二総長、理事長をはじめ、多くのご来賓の皆様、ならびに、保護者の皆様にご臨席を賜り、2018年度同志社香里中学校・高等学校入学式を挙行できますことは、誠に大きな喜びであります。心より感謝申し上げますと共に、中学243名、高校306名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。心より祝福を贈りたいと思います。入学に至るこれまでの努力に、深く敬意を表します。また、これまでずっと温かく支えてこられた保護者の皆様、立派に成長されたお子様の姿に、感激もひとしおかと存じます。本日は、誠におめでとうございます。

今、新入生の皆さんの胸中は、入学の喜びと、これから始まる学校生活への不安の中に、将来への大いなる期待と夢で満ち溢れていることでしょう。皆さんは、今日の入学式で、スタート地点に立ちました。夢と希望を抱いて、一歩、一歩、着実に、同志社香里で歩みを進めてほしいと思います。同時に、この場にいることができるのは、皆さんのこれまでの努力の積み重ねのたまものであることは言うまでもありませんが、ご家族や周りの方々の支えや優しくも厳しい教えのお陰であり、感謝の気持ちを忘れないでください。

さて、皆さん、日本人の平均寿命、何歳か知っていますか。厚生労働省の統計によると、2016年の日本人の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳で、いずれも過去最高。日本は、世界でもトップクラスの長寿国です。今後、科学技術や医療技術などの進歩により、平均寿命はさらに上昇すると見込まれています。

昨年、イギリスのロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授が、「平均寿命が延び、これからは『100年生きる』ことを前提に生き方を考えなければならない。従来考えられてきた「教育」「仕事」「引退」という単純な区割りでのライフステージの時代は終わり、これからは、「引退」も含め、その時々で「教育」と「仕事」が絡み合うマルチステージの人生プランを考える必要がある。」と提唱し、話題となりました。「100年人生時代」の到来は、はるか先の話ではなく、ここにおられる皆さんの多くが、100歳以上生きる確率が50%以上あると言われているのですから、今を生きる私たち自身に関わる話として受け止めなければなりません。

100歳まで見据えた人生設計を…と言われても、何をどう考えればいいのか、わからない人も多いでしょう。リンダ・グラットン教授は、自身の著書、「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」で、100年ライフ時代を生きるために必要な、これまでとは全く違う人生戦略について、生き・学び・働くための指針を説いています。今日はその中の一つをご紹介したいと思います。

グラットン教授は、*「100年ライフが当たり前になれば、人生の早い時期に、一度にまとめて知識を身につける時代は終わるかもしれない。」と述べています。つまり、勉強は学生時代に一生懸命して、社会に出れば仕事に関する知識や技術だけを習得すれば人生安泰という時代から、時流の変化を見極め、応用可能な知識と能力を常に身につけなければならない時代へと変わると言うことです。

近年、科学技術の進歩はめざましく、今や人工知能AIの話題に欠くことはありません。10年後には、AIにより多くの仕事が淘汰されると言われる時代。技術革新の猛スピードに、得た知識やスキルが追いつかず、すぐに役に立たないものとなる時代が到来します。たったひとつのスキル、あるいは、ごく一般的なスキルを身につけているだけでは、長い人生の多様な状況に対応できなくなります。絶えず、新しいことを学び、新しいスキルを身につけることが求められます。生涯にわたって学び続けなければなりません。加えて、その学びは、与えられるだけの学びではなく、自ら課題を見付け、主体的な学びをすることで、より実り豊かなものとなります。皆さん、これからの本校での学校生活を通して、知識や人間力を身につけるのは勿論のこと、自ら求め、学び続ける姿勢を養ってください。

最後に、式の冒頭で朗読していただきました聖書、マタイによる福音書7章7~8節に、「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる」とありました。

皆さんは、同志社香里という学校を見つけ、そこで学ぶことを求めて、門をたたきました。その門は開かれ、今日の佳き日を迎えています。これから先も、しっかりとこの聖書の御言葉を胸に刻んで学校生活を送ってください。皆さん、「自分から求めてください。」積極的に求めなければ、与えられません。与えられるよう努力してください。授業で与えられたことだけをこなすのではなく、自ら「問い」や「疑問」を持ってください。「自分から探してください。」自らの「問い」や「疑問」に対し、「知りたい、調べたい」と知的好奇心を持って、辞書や本で調べてください。そうすれば見つかります。探さなければ見つかりません。「自分から門をたたいてください。」苦難や困難に直面しても、あきらめず解決するまで、納得いくまで努力し続けてください。「求め、探し、門をたたき続ける」という主体的な姿勢を養うことで、人生は開かれ、どんな困難にぶつかっても、乗り越えることができます。

今日から同志社人となった皆さんのこれからの3年、6年の学校生活が、有意義で、実り豊かなものとなることを心からお祈りし、式辞といたします。ご入学おめでとうございます。

 

*「ライフ・シフト」(池村千秋訳、東洋経済新報社、2016年)より引用

 

2018年4月9日 校長 瀧 英次